ABSTRACT 736(P1-5)
 ポスターセッション一覧 トップ 


コリン欠乏アミノ酸(CDAA)食で誘発したラット肝細胞癌におけるp16およびp21遺伝子変異の検索:辻内俊文, 佐々木康孝, 堤 雅弘, 高濱誠, 傳田阿由美, 中江大, 小西陽一(奈良医大・がんセ・腫瘍病理)

No alterations of p16 and p21 genes in hepatocellular carcinomas induced by a choline deficient L-amino acid defined diet in rats : Toshifumi TSUJIUCHI, Yasutaka SASAKI, Masahiro TSUTSUMI, Makoto TAKAHAMA, Ayumi DENDA, Dai NAKAE, Yoichi KONISHI (Dept. of Oncol. Pathol., Cancer Center, Nara Med. Univ.)

コリン欠乏アミノ酸(CDAA)食は,コリンを含むことなく蛋白質成分を全てアミノ酸で置換した半合成食で,既知の化学発癌物質を含むことなく,ラットに長期投与すると高頻度に肝細胞癌を発生せしめる内因性の発癌モデルである.これまでに,本モデルで誘発した肝細胞癌におけるK-rasおよびp53遺伝子変異は,K-rasの点突然変異が低頻度であり,p53の点突然変異は見られないことを明らかにしてきたが,本発癌過程における遺伝子変化については不明な点が多い.今回は,癌抑制遺伝子であるp16およびp21遺伝子変異について以下の実験を行なった。動物は,6週齢のF344雄ラットを用い,CDAA食を70から72週間投与し動物を屠殺解剖した。肉眼的に明らかな肝腫瘤を摘出し凍結保存するとともに一部をホリマリン固定パラフィン包埋にてHE標本を作成した。組織学的に肝細胞癌と診断し得た7例について,p16およびp21遺伝子の変異の検索に凍結保存した標本よりRT-PCR-SSCP法を行なった。その結果,全例においてp16遺伝子の発現は見られ,p16およびp21遺伝子に点突然変異は見られないことより,本発癌過程における癌抑制遺伝子変異の関与は乏しいことが示唆された.現在,癌遺伝子ならびに癌抑制遺伝子におけるDNAメチル化の異常について検索中である.