ABSTRACT 741(P1-6)
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水腎症自然発症ラットにおけるアスコルビン酸ナトリウムの腎盂および膀胱発癌プロモーション作用:村井 隆1,2,森 聖1,2,武田禮二2,鰐渕英機1,福島 昭治1大阪市大・医・1病理、塩野義製薬・油日ラボ)

Promoting activity of sodium L-ascorbate in renal pelvic and urinary bladder carcinogenesis by N-butyl-N- (4-hydroxybutyl) nitrosamine in SD/cShi rats which have spontaneous hydronephrosis:Takashi MURAI1,2, Satoru MORI1,2, Reiji TAKEDA2, and Shoji FUKUSHIMA1(11st Dept. Pathol.,Osaka City Univ. Med. Sch., 2Aburahi Lab., Shionogi & Co., Ltd.)

【目的】アスコルビン酸ナトリウム(SA)はF344ラット雌雄においてN-butyl-N-(4-hydroxybutyl)nitrosamine(BBN)による膀胱発癌を促進する。しかし、SAの腎盂発癌に対する促進作用については報告されていない。我々は水腎症を自然発症するSD/cShiラットにBBNを投与すると腎盂癌が発生することを見いだした。今回、このモデルを用いて腎盂ならびに膀胱発癌に対するSAの促進作用を検討した。【材料および方法】6週齢のSD/cShi雄を3群に分けた。第1および2群に0.05%BBN水溶液を実験開始から4週目まで投与した。第1および3群は実験5週目から36週目まで5%SA混餌飼料を投与した。尿pH、尿中アスコルビン酸およびNa濃度を測定するとともに腎盂および膀胱腫瘍の発生を病理学的に検討した。【結果】尿の平均pHは第1-3群で8.5、7.9、8.5、平均アスコルビン酸濃度は1231、248、1100mg/dl、Na濃度は177、73、182mmol/lであった。腎盂癌は第1-3群で、3/12(25%)、0/8(0%)、0/4(0%)に観察され、さらに第1群では腫瘍数の発生増加がみられた。膀胱癌は第1-3群で、7/12(58%)、0/8(0%)、0/4(0%)に観察された。【結論】SAはSD/cShi雄ラットにおいて、腎盂および膀胱の両者に発癌プロモーション作用を示すことが明らかとなった。