ABSTRACT 743(P1-6)
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EGFはラット膀胱発癌の初期においてのみ発癌増強作用を発揮する。
服部一紀1, 藤本清秀1, 玉谷哲也1, Alfred Rademaker2, 赤座英之3, 大保亮一11ノースウエスタン大・病理, 2ノースウエスタン大・癌セ, 3筑波大・医・臨床・泌)

Exogenous epidermal growth factor exerts promoting action during the early phase of rat urinary bladder carcinogenesis: Kazunori HATTORI1, Kiyohide FUJIMOTO1, Tetsuya TAMATANI1, Alfred RADEMAKER2, Hideyuki AKAZA3 and Ryoichi OYASU1 (1Dept. of Path., Northwestern Univ., 2Cancer Center, Northwestern Univ. and 3Dept.of Urol., Sch.of Med.,Univ.of Tsukuba)

[目的]ラット膀胱発癌において、EGFが発癌のどの時期に重要であるか、あるいは発癌の後期にはEGFを必要としなくなるか(EGF非依存性)を検討した。
[方法]210個のラット移植膀胱(HTB)をN-methyl-N-nitrosourea (MNU)で週1回、計3回処理した後、EGFを週1回、20、28、または36週間投与した。その後、半数のラットにはEGFを、残りのラットにはPBSに切り替えて、更に8週間投与した。
[結果]23週においては、EGFの投与の有無で腫瘍頻度やHTBあたりの腫瘍数に差を認めず、共に低値であった。しかし、最初の20週間にEGFの投与を受けたラットは、その後8週間のEGF投与の有無にかかわらず、28週間PBSのみ投与された群に比べ、有意に腫瘍頻度やHTBあたりの腫瘍数が増加した。更に31週以降EGFを投与しても発癌増強効果は全く認められなかった。
[結論]EGFは発癌の初期においてのみ重要であり、以後腫瘍はEGF非依存性に増殖を続けるものと考えられた。(Supported by NIH CA14649)