ABSTRACT 744(P1-6)
BBN誘発ラット膀胱癌におけるp53変異の解析: 青山哲也1、山本員久3、外木秀文1、中田大地1、巴一1、石川享1、浜田淳一1、細川眞澄男2、勝岡洋治3、守内哲也1(北大・医・1癌研細胞制御、2癌研病理、3大阪医大・泌)
p53 mutations determined by yeast functional assay in rat urinary bladders treated with N-butyl-N-(4-hydroxybutyl)nitrosamine: Tetsuya AOYAMA1, Kazuhisa YAMAMOTO3, Hidefumi TONOKI1, Daichi NAKATA1, Yi BA1, Susumu ISHIKAWA1, Jun-ichi HAMADA1, Masuo HOSOKAWA2, Yoji KATSUOKA3, Tetsuya MORIUCHI1 (1Div. Cell Biol., and 2Pathol., Cancer Inst., Hokkaido Univ. Sch. Med., 3Dept. Urol., Osaka Medical. College)
【目的】N-butyl-N-(4-hydroxybutyl)nitrosamine (BBN) 誘発ラット膀胱腫瘍における、p53変異を酵母アッセイにより解析し、腫瘍の増殖、病理組織所見との関係を検討した。【方法】26匹のオスF344ラットをBBNの投与期間およびその後の非投与観察期間を異にする以下の4群に分け(I群: 0.05% BBN投与14週+非投与6週、II群: BBN投与14週+非投与17週、III群: BBN投与17週+非投与14週、IV群: BBN投与17週+非投与24週)、それぞれのスケジュール終了後、膀胱を摘出し、病理組織学的検査とp53の酵母アッセイを行った。【結果】1) 長期のBBN投与により腫瘍の増殖が促進されることが観察された。2) BBN投与後非投与期間を長くするとp53変異をもつ細胞のクローナルな増殖が促進された。3) クローナルなp53変異は病理組織学的な悪性度と相関し、進行した腫瘍で高頻度に検出された。【結論】ラット化学発癌ではヒト自然発生腫瘍と異なりp53の多彩な変異が引き起こされる。化学発癌剤投与を中止すると増殖優位性を獲得した細胞のみがクローナルな増殖を示す。