ABSTRACT 745(P1-6)
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DMABラット前立腺癌発生に対するPhIPのプロモーション作用の検討:佐野真士1、2、玉野静光2、小久保百合子1,2、五島英雄1,2、崔 林1、高橋 智1、田中 光2、白井智之1 (1名市大・医・1病理., 2大雄会医科研)

Lack of promotion effect of PhIP on DMAB induced rat prostate carcinogenesis : Masashi SANO1、2, Seiko TAMANO2, Yuriko KOKUBO1,2, Hideo GOSHIMA1,2, Lin CUI1, Satoru TAKAHASHI1, Hikaru TANAKA2 and Tomoyuki SHIRAI1 (11st Dept. Pathol., Nagoya City Univ. Med. Sch., 2Daiyu-kai Inst. Med., Sci.)

[目的]大腸、乳腺以外にも前立腺に対する発がん性が最近明らかになった2-amino-1-methyl-6-phenylimidazo[4,5-b]-pyridine (PhIP)のプロモーション作用を3,2`-dimethyl-4-aminobiphenyl (DMAB)によるラット前立腺癌実験系を用いて検討した。[方法]6週齢F344雄ラットにDMAB50mg/kgを2週毎に10回皮下投与した後、第1群から第3群まではPhIPをそれぞれ0, 100, 300ppmの濃度で40週間混餌投与した。第4群から第6群まではDMAB無処置で同様のPhIP投与を行った。全経過60週で屠殺した。[結果] DMAB処置群における前立腺腹葉の異型過形成の発生頻度は対照群で63.2%, 100ppm群で73.9%, 300ppm群で63.2%, 癌はそれぞれ15.8%, 13.0%, 4.5%であり、対照群との間に有意差を認めなかった。しかし、PhIP単独投与では異型過形成は対照群の0%に対し、100ppm群では46.7%, 300ppm群では53.3%と有意な増加が観察された。癌の発生は対照群では0%、100ppm群では6.7%、300ppm群では27.8%と増加傾向を認めた。精嚢ではDMAB処置群においては異型過形成および癌とも発生頻度に有意差は認めなかったが、PhIP単独投与群では用量相関性に異型過形成が増加した。これに対し、大腸のACFおよび腫瘍の発生に対してはPhIPによる促進作用を観察した。[結論] PhIPは単独では前立腺に対して発がん性を有するが、DMABイニシエーションに対するプロモーション作用は観察されなかった。現在、メカニズムについて解析中である。