ABSTRACT 748(P1-6)
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チオウレアおよび過剰ビタミンA同時投与ラットのTSH産生細胞および甲状腺増殖性病変の増殖因子における免疫組織化学的検討:竹川潔1,三森国敏1,小野寺博志1,安原加壽雄1,高橋道人1,林裕造2 (1国立医衛研・病理, 2北里大・薬)

Immunohistochemical changes of TSH-producing cells and growth factors in thyroidal proliferative lesions in rats treated with thiourea and/or excess vitamin A : Kiyoshi TAKEGAWA1,Kunitoshi MITSUMORI1,Hiroshi ONODERA1,Kazuo YASUHARA1,Michihito TAKAHASHI1,Yuzo HAYASHI2 (1Div. Pathol., Natl. Inst. Hlth. Sci., 2Dept. of Pharm. Sci., Kitasato Univ.)

【目的】N-bis(2-hydroxypropyl)nitrosamine (DHPN)処置後にチオウレア(TU)を投与することによるラット甲状腺の増殖性病変発生が,過剰ビタミンA(VA)の同時投与により増強される.その原因として甲状腺ホルモンの代謝促進が考えられるが,甲状腺の増殖性病変の増殖因子の発現への影響も考えられることから、以下の実験を行った.
【方法】6週齢の雄F344ラットにDHPN 2800 mg/kgを単回皮下投与した後,10週間にわたり0.2% TU飲水投与(TU群)ないし0.1% VA混餌との同時投与(TU+VA群)を行った.下垂体についてはTSH,甲状腺についてはtransforming growth factor α(TGFα)およびcyclin D1の免疫染色を行った.さらに,DHPN処置後19週間TUおよびVAを与えたラットの甲状腺についてepidermal growth factor receptor(EGFR)の免疫染色を行った.
【結果】下垂体のTSH陽性細胞の肥大はTU群よりTU+VA群で顕著であった.甲状腺増殖性病変におけるTGFα,EGFRおよびcyclin D1の発現については,TU群とTU+VA群の間に差はなかった.
【結論】下垂体におけるTSH産生が過剰VAにより促進され,TU誘発甲状腺病変の増強にはネガティブフィードバックを介したTSH刺激の増強が関与することがさらに裏付けられた.