ABSTRACT 749(P1-6)
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大豆食で起こるラット甲状腺腫瘍の発現機序に関する検討:池田尚子1,今沢孝喜,西川秋佳,笠原健一郎,木村修一,広瀬雅雄昭和女子大,国立医衛研・病理)

Mechanism on rat thyroid tumorigenesis by soybean protein: Takako IKEDA1, Takayoshi IMAZAWA, Akiyoshi NISHIKAWA, Ken-ichiro KASAHARA, Shuichi KIMURA, Masao HIROSE (Showa Women's Univ. Div. of Pathol., Natl. Inst. Health Sci.)

【目的】ラットに大豆含有飼料を与えると甲状腺が肥大し,濾胞上皮の過形成および腫瘍が誘発されるが,そのメカニズムはまだ解明されていない。そこで今回,大豆タンパク質摂取によるホルモンバランスへの影響について検討した。【実験方法】4週齢のF344雌ラット40匹を4群に分けた。群構成は食餌中のタンパク質20%をグルテンまたは脱脂大豆とした2群に,各々ヨード欠乏群を加え合計4群とした。実験開始5,10週目に各群5匹ずつ屠殺・剖検し臓器重量測定後,生化学的に検索をした。【結果および考察】甲状腺重量はヨード欠乏によって増加し,大豆投与によりさらに高度に(約85倍)増加した。下垂体重量は対照群に比べ大豆群が有意に増加した。血清生化学的にT4はヨード欠乏で有意に低下したが,大豆単独投与では増加傾向を示した。一方,TSHは大豆投与において有意に増加し,ヨード欠乏によりさらに約21倍増加した。これらの変化は10週目でより顕著であった。以上により,大豆タンパク質はヨード欠乏に相乗的に作用することが示された。また,その発現機序として甲状腺ホルモンの減少によるnegative-feedback機構以外の要因の可能性も示唆された。