ABSTRACT 820(P1-11)
種々の一酸化窒素(NO)ドナーによる発がんの検討:徳田春邦1、奥田葉子1、木島孝夫2、高崎みどり2、西野輔翼1(1京都府立医大・生化、2京都薬大)
Studies of carcinogenesis by NO donors: Harukuni TOKUDA1, Youko OKUDA1, Takao KONOSHIMA2, Midori TAKASAKI2, Hoyoku NISHINO1 (Dept. of Biochemistry, Kyoto Prefectural Univ. of Medicine1,Kyoto Pharmaceutical University)
種々の疾患に一酸化窒素(NO)の関与する可能性が考えられ、その中でわれわれは発がん過程での作用に関して検討を進めているが、自発的にNOを発生するNOドナーのNOR1用いてマウス皮膚二段階発癌試験をおこなったところ顕著な腫瘍の発生を認めた。とくに発癌のイニシエーション作用に強い効果を示すことから、今回、種々の化学構造を有するNOドナーを用いてさらに詳細な検討を行なった。剃毛したマウス背部皮膚に390nmolのNOドナーを塗布した後、その1週間後よりTPAを1.7 nmol 、週2回塗布を20週間続けて腫瘍の発生を観察した。これまでの結果を検討すると、NOとスーパーオキサイドとの反応で生成され、NOより毒性が強いとされるパーオキシナイトライト溶液、またその発生剤であるSIN−1に強い腫瘍の発生効果が認められ、ニトロソチオール類による腫瘍の発生効果とともに、NOによる発がん作用に対しこれらが重要な知見を示すものと考えている。