ポスターセッション

一覧　トップ

ヒト大腸がんにおける誘導型一酸化窒素合成酵素( iNOS )発現の上昇：太田俊久^1,3,高橋真美¹,福田一典^1,4,落合淳志²,杉村　隆¹,若林敬二¹（¹国立がんセ・研・がん予防,²国立がんセ・研・病理,³ヤクルト中研,⁴岐阜大・医）

Increased Expression of Inducible Nitric Oxide Synthase ( iNOS ) in Human Colon Cancers: Toshihisa OHTA^1,3, Mami TAKAHASHI¹, Kazunori FUKUDA^1,4, Atsushi OCHIAI², Takashi SUGIMURA¹ and Keiji WAKABAYASHI¹ (¹Cancer Prev. Div., Natl. Cancer Center Res. Inst., ²Pathol. Div., Natl. Cancer Center Res. Inst., ³Yakult Cent. Inst. Microbiol. Res., ⁴Sch. Med., Gifu Univ.)

　誘導型一酸化窒素合成酵素( iNOS )によって炎症時に多量に生成されるNOは、がん発生に関与すると考えられている。 我々は、アゾキシメタン誘発ラット大腸がんにおいてiNOS発現が上昇していることを見出し、既に報告した。 本研究では、ヒト大腸がんでのiNOS発現について検討した。 手術時に採取した腫瘍組織は、いずれも進行がんであった（Dukes A・3例、B・9例、C・10例、D・7例）。 タンパク質の発現レベルをウエスタンブロッティングにより定量したところ、正常組織と比較して腫瘍組織でのiNOSの発現レベルは29例中15例で上昇していた。 腫瘍組織でのiNOS発現の上昇は、中分化型腺癌と比較して高分化型腺癌でより顕著であった。 また、免疫組織染色によりiNOSが腺管構造を呈する上皮性腫瘍細胞に発現していることを確認した。 以上のことから、ラットと同様にヒトの大腸がんにおいてもNO生成が顕著に上昇し、がん発生に重要な役割を果たしていることが示唆された。