ABSTRACT 823(P1-11)
パーオキシナイトライト(ONOO-)の固型腫瘍の血管透過性亢進作用: 呉 軍、澤 智裕、赤池 孝章、前田 浩(熊本大・医・微生物)
Effect of peroxynitrite (ONOO-) on enhanced vascular permeability of solid tumor: Jun WU, Tomohiro SAWA, Takaaki AKAIKE, Hiroshi MAEDA, (Dept.of Microbiol., Kumamoto Univ. Sch. Med.)
「目的」我々はこれまで固型腫瘍における血管透過性亢進においてbradykinin, prostaglandins及び一酸化窒素(NO)がそのメディエターとして重要な役割を果たしていることを明らかにした。一方、NOは好中球やマクロファージなどの炎症細胞に由来するスーパーオキサイド(O2・-)と速やかに反応し、より高い反応性を持つパーオキシナイトライト(ONOO-)となる。今回我々はONOO-が固型腫瘍血管透過性に関与する結果を得たので報告する。
「方法」固型腫瘍モデルはddY マウスの背部皮下にS-180を移植して作製した。血管透過性のマーカーとしてエバンスブル ーを用いた。エバンスブル ー(10mg/kg)を尾静脈より投与し、その6時間後、腫瘍組織へ集積したエバンスブル ー を抽出し定量した。ONOO-の消去剤であるエブセレン あるいは尿酸を、エバンスブル ーを投与する30分前および3時間後の2回経口で投与し、腫瘍血管透過性亢進におよぼす作用を調べた。
「結果と考察」エブセレンおよび尿酸の投与はそれらの濃度依存的に腫瘍血管透過性亢進を減少させた。すなわち、エブセレン (300mg/kg)および尿酸(500mg/kg)の投与はエバンスブル ーの腫瘍組織への集積量をコトロール(100%)のそれに比べそれぞれ40%、24%の抑制を示した。この結果は、腫瘍局所におけるONOO-の生成及びそのONOO-の血管透過性亢進への関与を示唆するものである。