ABSTRACT 824(P1-11)
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GCPを伴う残胃癌症例の意義:近藤建1、片岡政人1、市原透1、堀澤増雅1、笠井保志2 (1国立名古屋・外、 名大・医・2外2

Significance of gastritis cystica polyposa on development ofgastric stump carcinoma :Ken KONDO1,Masato KATAOKA1,Tooru ICHIHARA1,Masumasa HORISAWA1,Yasusi KASAI2(1Dept. of Surgery, Nagoya National Hosp., 2Dept. of Surgery II, Nagoya Univ. Sch.of med.)

(目的) Gastritis cystica polyposa (GCP)は残胃癌の発生母地として重要視されているがその発癌過程は明らかではない。 (対象と方法) 1996年までに経験した残胃癌切除例は、初回が良性疾患であるA群:44例(Billroth I 法20例Billroth II 法24例)、初回疾患が胃癌で術後5年以上を経て残胃切除を行ったB群:17例(I 法12例、II 法5例)の61例である。また残胃吻合部粘膜よりの生検所見(初回良性147例、初回悪性62例)を臨床病理学的に検討した。(結果) A群では吻合部癌が28例(64%)と噴門部癌の27%に比べて多かった。またI法では吻合部、噴門部がそれぞれ47%、53%とほぼ同じであるのに対して、II法では90%、10%と有意に吻合部の割合が高かった。病理組織学的にGCPが発生母地と考えられる症例が吻合部癌の6例にみられ、すべてII 法後症例であった。 B群では吻合部癌は9例(53%)であり、そのうちII 法後症例は2例で1例がGCPを背景としていた。全7例の初回切除よりの経過年数は平均26.4年(19年10月-40年)と長く、術前診断はすべて早期癌でI型2例(m 1例, sm1例)、IIa型2例(m 1例, sm1例)、IIc型3例(mp3例)であり、術前のの深達度診断は困難であった。初回良性の生検所見で、20年以上経過例ではBillrothII法例で65.2%に腺窩過形成、嚢胞形成を認め、I法例に比べて有意に高率であった。(結語) GCPの成因は十二指腸液逆流による繰り返される残胃胃炎と考えられ、それと吻合部癌発生との関連が示唆された。