ABSTRACT 841(P2-1)
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Epstein-Barrウイルス関連胃癌のSCID mouse移植株の樹立: 鄭 子文、深山正久1、岩崎善毅2、林 幸子、小池盛雄3, 平井莞二41自治医大病理、2都駒病外科、3病理、4東京医歯大難治研)

Establishment and characterization of a human Epstein-Barr virus-associated gastric carcinoma in SCID mice: Ja-Mun CHONG1, Masashi FUKAYAMA, Yoshiaki IWASAKI2, Yukiko HAYASHI3, Morio KOIKE3, Kanji HIRAI4 (1Dept. of Pathol., Jichi Med. Sch., 2Dept. of Surg. and 3Dept. of Pathol., Tokyo Metrop. Komagome Hosp., 4Dept. of Cell Regulation, Medical Res. Inst., Tokyo Medical and Dental Univ).

今回、我々はEpstein-Barr ウイルス(EBV)関連胃癌のSCID mouse移植株を樹立したので報告する。手術症例は58歳女性、9.0x7.5cm大の2型、seの低分化腺癌で、生後5週のSCID mouseの背部に移植した。組織学的には手術例は概ね充実性腺癌の所見で、一部に胞体に粘液を有する部位を認めたが、移植株ではほとんど粘液を有する細胞により占められていた。両者ともEBER1 in situ hybridization でほぼ全ての細胞の核に陽性像を示した。CAM5.2を用いた免疫組織学的検討で移植株が上皮性であることを確認した。terminal repeat probeを用いたSouthern blot法では両者のEBVはmonoclonalで断片長も同一であった。mRNA発現は両者ともEBNA1のみ発現し、LMP1やEBNA2、BZLF1の発現は認められない。また、EBNA promoterの発現はQpのみ認め、Wp、Cpの発現は認めず、手術例、移植株ともlatency Iのパターンを示すことを確認した。今後、この移植株を用いてEBVaGCに特異な遺伝子変化やサイトカイン発現の検討に有用と思われる。