ABSTRACT 843(P2-1)
EBV陽性胃癌細胞株(GTC-4)の免疫能に与える影響:竹島寿男1,若栗直子1,冲永功太1,田島マサ子2,高梨正勝3(1帝京大・医・外,2帝京大・中検,3帝京・医)
The influence of cultured medium of EBV positive cell line derived from human gastric cancer on immunological function :Toshio TAKESHIMA1,Naoko WAKAKURI1, Kota OKINAGA1, Masako TAJIMA2, Masakatu TAKANASHI3(1 Dept. of Surg., Teikyo Univ. Hosp.,2 Cent. Clic. Lab.Teikyo Univ. Hosp.,3Teikyo Univ. Hosp)
(目的)Epstein-Barr Virus(EBV)は,人胃癌組織に存在する症例のあることが証明されており,胃癌の発生・進展に何らか関与している可能性が考えられている。今回胃癌組織より樹立したEBV陽性株の培養上清が免疫能に対する影響について検討した。
(方法)1)胃癌組織より樹立したEBV陽性株(GTC-4)にT.P.A.およびN-butylateを添加した17時間処理後の2%FCS MEM培養上清(処理液)を使用した。処理液中に感染性ウィルスは検出されなかった。2)サイトカイン量はELISA法にて測定した。4)免疫能については,各年齢層(20〜60歳)の健常人のリンパ球を用いPHA刺激によるTリンパ球の幼若化能を検討した。
(結果)1)処理液中のIL-1α,β,IL-6,TGF-βは,すべて陰性であった。2)EBV陽性株の処理培養上清添加によってT細胞のPHA刺激幼若化能は,著明に抑制された。3)処理培養上清添加による抑制の割合は,濃度依存性であった。
(考察)EBV陽性胃癌細胞株は,人リンパ球に対する抑制物質を放出している可能性が示唆された。