ABSTRACT 846(P2-1)
初代胃培養細胞のEBウイルス感染と増殖亢進:西川 潤1,2,今井章介1,沖田 極2,高田賢蔵1(1北大・医・癌研ウイルス,2山口大・医・第一内科)
Growth transformation of primary gastric epithelial cells by EBV infection: Jun NISHIKAWA1,2, Shousuke IMAI1, Kiwamu OKITA2, Kenzo TAKADA1 (1Dept. Virol., Cancer inst., Hokkaido Univ. Sch. of Med., 21st. dept. of inter. med.,Yamaguchi Univ. Sch. Med.)
【目的】胃癌発生におけるEBウイルス (EBV)の役割を明らかにすることを目的とした。
【方法】内視鏡的生検で得られた正常胃粘膜の初代培養細胞にネオマイシン耐性遺伝子を組み込んだEBVを感染させ、G418存在下で感染細胞の分離を試みた。
【結果と考察】1個の生検材料からの培養細胞から繰り返し、G418耐性クローンを得ることに成功した。これらの細胞は、すべてEBV陽性であり、EBV陽性胃癌と同様、EBNA1,EBER,BARF0,LMP2Aのみを発現していた。また、EBV非感染細胞に比較して、増殖速度が速く、高い飽和密度を示すようになり、軟寒天培地でのコロニー形成能、SCIDマウスへの造腫瘍性を獲得した。以上の結果は、EBV陽性胃癌におけるEBVの存在が細胞増殖亢進、悪性化に寄与していることを示唆する。