ABSTRACT 850(P2-1)
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ヒトEBウイルス発癌動物実験モデル:サルBリンパ芽球株由来EBV関連ヘルペスウイルスにより誘発されるウサギ悪性リンパ腫:
林 一彦、陳 紅麗、大原信哉、寺本典弘、吉野 正、高橋聖之、赤木忠厚 (岡山大・医・2病理)

Animal model for human EBV-associated cancer: Rabbit malignant lymphoma induced by EBV-related herpesvirus derived from simian lymphoblastic cell line :Kazuhiko HAYASHI, Hong-Li CHEN, Nobuya OHARA, Norihiro TERAMOTO, Tadashi YOSHINO, Kiyoshi TAKAHASHI, Tadaatsu AKAGI (2nd Dept. of Pathol., Okayama Univ. Med. School)

[目的]ヒトEpstein-Barr virus (EBV)関連疾患として多数の研究報告があるが、未だin vivoにおけるEBVの感染や発癌の正確な機序は明らかでない。今回サルBリンパ芽球株由来EBV関連 herpesvirus (cyno-EBV)によるウサギ悪性リンパ腫の誘発モデルを報告する。[方法]Cyno-EBV産生サルBリンパ芽球株(Ts-B6), EBV産生株(B95-8)の細胞または培養上清のペレットをウサギに静注や経口投与して経時的にEBVの抗VCA-IgG, EA-DR-IgG抗体と末血におけるEBV関連ウイルスの有無をPCRで検索した。誘発されたウサギ悪性リンパ腫の病理学的検索とEBER1発現をISHで検討した。さらに腫瘍株の樹立も試みた。[結果] Cyno-EBVとEBVの経口投与2日目から末血にEBVを検出し、約2週後抗VCA-IgG抗体価の上昇を認めた。Cyno-EBVの静注群と経口投与群はそれぞれ10/12, 9/11匹と高率に27-122日間でEBER1陽性のウサギリンパ腫の発生を見たが、EBV(B95-8)投与群では認めなかった。樹立された腫瘍株の3/5に12q-の染色体異常が見られた。[結論]このEBV関連ウイルス(Ts-B6由来)を用いたウサギの経口(静注)感染による悪性リンパ腫誘発モデルは、ヒトのEBVの自然な感染とEBV関連リンパ腫発生の病態解明に有用である。