ABSTRACT 853(P2-1)
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テトラサイクリン制御発現システムによるEBNA2遺伝子導入実験;AKATA細胞の反応: 藤原成悦,中村浩幸,永石宇司,小野魁 (日大・医・微生物)

Tet-regulated expression of EBNA2 in AKATA cells: Shigeyoshi FUJIWARA,Hiroyuki NAKAMURA,Takashi NAGAISHI,Yasushi ONO (Dept. of Microbiol., Nihon Univ. Sch. Med.)

[目的] EBウイルス(EBV)のEBNA2蛋白質はBリンパ球の不死化に必須であり、種々の細胞およびEBV遺伝子の発現を調節する。我々はこの蛋白質の機能解析の一環として、テトラサイクリン(Tet)により制御可能なEBNA2発現システムを作製した。今回はバーキットリンパ腫細胞株AKATAに対する導入実験の結果を報告する。[方法] EBNA2遺伝子をTet制御発現ベクターpTet-Spliceに組み込みpTet-SGE2を作製した。またハイグロマイシン耐性遺伝子をTetトランスアクティベーターを発現するベクターpTet-tTAKに組み込みpTAK-Hygを作製した。これら2種のプラスミドを電気穿孔法によりAKATA細胞に導入し、ハイグロマイシンによる選択をおこなった後Tetを除いてEBNA2の発現を誘導した。[結果] Tetの除去によりEBNA2発現をほぼ100%の細胞で誘導しうるAKATA細胞クローンを多数得た。これらの細胞ではEBNA2発現の誘導後に増殖が著しく抑制され、ウイルス複製サイクルが50%以上の細胞に誘発された。[考察] EBNA2発現後のウイルス複製サイクルの誘発が同蛋白質の直接の作用によるものか、或いは何らかの細胞側要因を介する間接的なものか、現時点では不明である。また細胞増殖抑制作用がEBV複製サイクルの誘発によるものか否かを、EBV陰性のAKATA細胞を用いて検討中である。