ABSTRACT 854(P2-2)
口腔粘膜におけるヒトパピローマウィルス(HPV)感染について : 寺井政憲1,2、高木 実2、佐多徹太郎1 ( 1国立感染研・感染病理、2東京医歯大・歯・口腔病理 )
Human Papillomavirus Infection in Oral Cavity : Masanori TERAI1,2, Minoru TAKAGI2, Tetsutaro SATA1 ( 1Dept.of Pathology, Natl. Inst. Infect. Dis., 2Dept. of Oral Pathology, Tokyo Med. & Dent. Univ.)
(目的)口腔病変とHPVの関連を検討する目的で、病変の見られない口腔粘膜におけるHPVの感染を検索した。
(方法) 30例の健常人と皮膚疾患患者(尋常性疣贅,尖圭コンジローマ、脂漏性角化症) 7例の正常口腔粘膜細胞から抽出した検体について、10-4コピーまで検出できるPCR法を用いてHPVの検索を行った。
(結果)健常人の正常口腔粘膜でHPVが高率(81.1%)に検出された。遺伝子型はHPV-18が86.7%のほかHPV-61, -59が検出され、複数のタイプの組み合わせも認められた。HPV関連(HPV-6, 62)皮膚疾患患者の口腔粘膜においても健常人と同様の結果が得られた。
(考察)口腔病変とHPVの関連を検討する上で、正常口腔粘膜に少ないコピー数のHPVが高頻度に検出されることや、遺伝子型に特徴があることを考慮する必要がある。この研究は東京女子医大皮膚科橋本慶子先生、東京女子医大第二病院耳鼻科余田敬子先生との共同研究である。