ABSTRACT 856(P2-2)
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2-deoxyglucose によるHPV 18遺伝子の選択的発現抑制に関する研究:前濱俊之、 金澤浩二(琉球大・産婦)

Selective suppression of HPV18 transcription by 2-deoxyglucose:Toshiyuki MAEHAMA,Koji KANAZAWA(Dept. of Obstet.and Gynecol.)

(目的)腫瘍の発育において、glucose 代謝は、重要な役割を演じている。そこで、これに対して拮抗作用を示す 2-deoxyglucose (2-DG)を、ともにHPV 18が陽性である造腫瘍性細胞(HeLa cell)と非造腫瘍性細胞(444 cell)に投与し、HPV E6/E7遺伝子の発現制御効果を検索した。(方法) (1) HeLa cell 、444 cell に7.5mg/mlの2-DGを投与し、HPV18、c-myc、p21、p53、β-actinの遺伝子発現をNorthern blot analysis にて検討した。(2) 2-DGのHPV18、c-myc、β-actin への遺伝子発現作用において、nuclear run-on assayにより、その転写過程を解析した。(3) 2-DGによるHeLa cellのapoptosis 誘導効果をFlow cytometry、DNA ladder assay にて解析した。(4) 2-DGのシグナル伝達経路をWestern blot にて解析した。(成績)(1) 2-DGによりHPV18の遺伝子発現は両培養細胞とも時間依存性に抑制され、c-myc、p21、p53は活性化された。β-actin は影響を受けなかった。(2) 2-DGのHPV18とc-myc 遺伝子発現への作用は転写開始レベルであった。(3) 2-DGの長時間投与によりapoptotic cell が出現し、時間依存性であった。(4) 2-DGのHPV発現抑制のメカニズムに転写因子NF-kBの関与は見られなかった。(結論)2-deoxyglucoseはHPV18の遺伝子発現を選択的に抑制し、またapoptosis を誘導することが示された。したがって、HPV陽性の病巣に対して、治療的応用の可能性が示唆された。