ABSTRACT 858(P2-2)
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癌細胞増殖抑制におけるHPV16・E2の転写活性化機能の役割:西村聡子, 石本秋稔, 酒井博幸(京大・ウイルス研・癌ウイルス)

Involvement of HPV16 E2 transactivational function in growth-suppression of cervical cancer cells.:Akiko NISHIMURA, Akinori ISHIMOTO, Hiroyuki SAKAI (Dept. Viral Oncol., Inst. Virus Res., Kyoto Univ.)

【目的】昨年度の本学会において、HPVのE2の発現によってHPV陽性の子宮頚癌細胞株の増殖が抑制され、この機能にはE2の転写活性化能(以下TAと略)が必要であることを報告した。本年度はTAの細胞増殖への関与と増殖抑制の機構を解析した。【方法】HeLaなどの細胞にE2や転写因子の発現ベクターを導入し、種々のマーカー遺伝子の発現や細胞増殖への影響を調べた。【結果及び考察】LCR-CATリポーターを用いて調べた結果、E2のTAはE6/E7の発現抑制に重要であり、このことが細胞増殖の抑制に寄与していると考えられた。またこのTAの必要性はE2の結合するプロモーター領域の活性化状態に依存することが明らかとなった。このことはDNA複製にも反映されており、転写活性のほとんどないori単独のリポーターの複製にはTAは不要であったが、LCRを含む場合はTAが複製促進に機能した。以上の点からE2のTAは遺伝子発現とDNA複製のバランスを取る上で重要な機能を果たしていることが示唆された。さらに癌化した細胞ではE6/E7の発現が高い状態に保たれているが、この発現を正あるいは負に調節する細胞性因子に関しても検討し、それらの細胞増殖への影響についても併せて報告する。