ABSTRACT 859(P2-2)
子宮頸部病変の進行に伴うヒトパピローマウイルス存在様式の変化:古田玲子1,秋山 太1,加藤 洋1,片瀬功芳2,手島英雄2,平井康夫2,北川知行1 (1癌研・研・病理部, 2癌研・婦人科)
Change in the existence mode of humam papillomavirus in cervical neoplastic lesions with progression : Reiko FURUTA1, Futoshi AKIYAMA1, Yo KATO1, Katsuyosi KATASE2, Hideo TESIMA2, Yasuo HIRAI2, Tomoyuki KITAGAWA1 (1Dept. Pathol., 2Gynecology Cancer Inst)
[ 目的 ]: 子宮頸部病変で、HPVの存在様式をin situ hybridization (ISH) 法で調べると、 組込み型は oligo -dot pattern(OP) 、フリーのものは diffuse pattern ( DP ) として核に検出され、上皮内癌から浸潤癌に進行するにつれ組込み型HPVの出現頻度が増加することを前回報告した。今回は、経過観察中に CIN I〜II から CIN IIIに進行した症例を集め、HPVの存在様式の変化を観察した。[ 材料と方法 ]:病理組織診断で初回 CIN I または II で、5年以上経過観察された164例中、最終的に C I N IIIに進行した13例を検索した。HPV type は、サザン法ないしPCR法とISH法で確認し、HE標本とISH法で組織学的な観察をした。[ 結果 ]:13 例のHPV感染は、16 型4例、52 型4例、33 型2例、58 型1例、不明2例である。初回標本では、中層から表層に koilocytosis が明瞭で基底細胞の核も腫大と核縁の不整、顆粒状クロマチンの濃染がみられる。C I N IIIでは、koilocytosisは目立たなくなる。ISH法では初回標本でkoilocytosisを示す細胞のみならず基底細胞を含む深層細胞にも陽性所見がある。O P はCIN I〜IIには認められず、CIN IIIの一部で深層に出現した。[ 結論 ]:基底細胞にも初期からHPVの感染があることが明らかとなった。O Pは進行に伴い、CIN IIIの深層に出現する。