ABSTRACT 865(P2-3)
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発現制御型のヒトB型肝炎ウィルスX遺伝子によるトランス活性化解析の試み: 野村孝弘、Tang Hong 、Lin Yong、Dorjsuren Dorjbal、村上清史(金沢大学・がん研・腫瘍分子科学)

An attempt for stable cell line which carries tet-controled human hepatitis B virus X protein : Takahiro NOMURA, Hong TANG, Yong LIN, Dorjbal DORJSUREN, Seishi MURAKAMI (Dept. Mol. Oncol., Cancer Res. Inst., Kanazawa Univ.)

ヒトB型肝炎ウィルス(HBV)のX蛋白(HBx)は、宿主細胞の多様な X 応答性配列をトランスに活性化し、発がんとの関連が示唆されている。この活性化には宿主細胞因子の共同が必須で、HBxがRNAポリメラーゼサブユニットRPB5や転写因子TFIIBと会合して転写機構そのものに干渉し、トランス活性化が生じている可能性が明らかになりつつある。 我々は導入されたHBxの細胞内の発現場所を検討してきた。GFP付加HBxとX 応答性配列を含んだCATレポーターをCo-Transfectionすることにより、 HBx蛋白は核質細胞質どちらでも観察され、その際のトランス活性化も抗CAT抗体による染色で確認された。
今回は、HBxの発現に制御可能な系を用いてトランス活性化の検討を試みた。用意した発現制御系はS. A. Reevesら(J. Viro.,1996)によるテトラサイクリン制御のプラスミドを改変してテトラサイクリン依存的に発現抑制されるタイプ(Tet-OFF)のものと、テトラサイクリン依存的に発現誘導されるタイプ(Tet-NO)のものである。発現はHBxに付加したFLAG配列を抗FLAG抗体で検出した。リン酸カルシウム法で細胞への導入をはかると、NIH3T3細胞をターゲットにした結果ではX蛋白の発現はテトラサイクリン依存的に抑制された。またHep3B細胞ではテトラサイクリン依存的な発現が観察され、相応したトランス活性化も確認された。これらの遺伝子をレトロウィルスベクター系を用いて、ターゲット細胞に安定的に組み付ける試みについても報告する。