ABSTRACT 866(P2-4)
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C型肝炎ウイルス(HCV)コア遺伝子とras遺伝子の共発現によるマウス線維芽細胞の形質転換:土原一哉,土方誠,下遠野邦忠(京大・ウイルス研・がんウイルス)

Transformation of mouse fibroblast by co-expression of hepatitis C virus core gene and ras gene : Katsuya TSUCHIHARA, Makoto HIJIKATA, Kunitada SHIMOTOHNO (Dept. of Viral Oncology, Inst. for Virus Research, Kyoto Univ.)

[目的]HCV感染は肝細胞癌発症に密接に関与しているが、その分子機構には不明な点が多い。HCVが細胞増殖に及ぼす影響を検証する一環としてHCVコアタンパク質による細胞形質転換能を検討した。[方法]ras遺伝子産物単独では形質転換の頻度が低いBALB/3T3 A31-1-1細胞において、HCVコア遺伝子を単独、あるいはv-H-ras遺伝子と共発現させ、フォーカスアッセイ、コロニーフォーメーションアッセイを行った。形質転換細胞でのコアタンパク質の細胞内局在を間接蛍光抗体法で確認し、またこれらの細胞の増殖優位性を検証した。[結果]コア遺伝子とras遺伝子の共発現下ではフォーカスを形成する細胞が増加した。形質転換細胞内でコアタンパク質は核近傍の細胞質に存在していた。これらの細胞は足場非依存的増殖が可能であり、血清存在下、非存在下での増殖優位性も確認された。一方、コア遺伝子を単独で発現させた群では上記のような細胞の形質転換は認められなかった[結論]HCVコアタンパク質は他の癌遺伝子産物と協同して、マウス線維芽細胞を形質転換することが示された。