ABSTRACT 872(P2-4)
 ポスターセッション一覧 トップ 


持続炎症はC型肝硬変症からの肝発癌のpromotionを促進するか:多羅尾和郎、玉井拙夫、大川伸一、宮川薫、青木浩晴(神奈川県立がんセ・内)

Sustained inflammation accelerates the promotion of HCC in HCV associated LC: Kazuo TARAO, Setsuo TAMAI, Shinichi OHKAWA, Kaoru MIYAKAWA, Hiroharu AOKI(Dept. of Int. Med. Kanagawa Cancer Ctr.)

【目的】C型肝硬変症の肝発癌において肝の持続炎症が肝発癌のpromotionを促進するか否かを、1)初期C型肝硬変からの肝発癌までの期間がGPT持続高値群と持続低値群において異なるか、2)C型肝硬変・肝癌肝切除例からの肝癌再発までの期間がGPT高値群と低値群で異なるか等の臨床的観察から検討した。
【方法】1)肝生検にて確診され5年以上経過観察した初期C型肝硬変症(Child A stage)75例をGPT年平均80単位以上が持続するGPT持続高値群と、80単位未満が持続するGPT持続低値群、判別不能群の3群に分け肝発癌率、発癌までの期間を検討した。2)C型肝硬変・肝癌肝切除例(門脈浸潤のないVp0例)からの肝癌再発までの期間を術後GPT値で80単位以上のpeakまたはplateauを認めるGPT高値群16例と、GPT値が常に80単位未満のGPT低値群15例に分けて、肝癌再発までの期間を比較した。
【結果】1)C型肝硬変症からの肝発癌では、GPT持続高値群32例から21例(65.6%)が発癌し(経過観察期間平均8年)、その中16例(発癌例の76.2%)は5年以内に発癌した。一方、GPT持続低値群30例では7例(23.3%)しか発癌せず、しかも2例(発癌例の28.6%)のみが5年以内に発癌した。2)肝癌・肝切除例からの再発では、GPT高値群16例から再発した12例(75.0%)のうち、11例(再発例の91.7%)は3年未満の再発であったのに対し、GPT低値群15例から再発した9例(60%)では、わずか3例(再発例の33.3%)が3年未満の再発であった。
【結論】C型肝硬変症では持続炎症が肝発癌のpromotionを促進することが臨床観察から証明された。