ABSTRACT 874(P2-5)
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HTLV-1の制御因子Taxと結合する細胞内因子の解析:鈴木健之, 大杉陽太, 秋山徹, 吉田光昭東大・医科研・細胞化学, 分生研・分子情報)

Interaction of HTLV-1 Tax with cellular factors : Takeshi SUZUKI1, Yohta OHSUGI1, Tetsu AKIYAMA2, Mitsuaki YOSHIDA1 (1Dept. Cell. Mol. Biol., IMS, 2Dept. Mol. Genet. Info., IMCB, Univ. of Tokyo)

HTLV-1の制御因子Taxは、宿主細胞内の転写因子や細胞周期調節因子に結合し、様々な遺伝子の転写制御や細胞周期の進行制御を通して、感染細胞の増殖や癌化に関与すると考えられている。今回、Taxと結合する新たな細胞内因子を同定するために、酵母two-hybrid法を行い、複数のcDNAクローンを得た。このなかで、PDZドメインをもつhDLGはDrosophilaのtumor suppressorとして単離されたDLGのヒトcounterpartであり、癌抑制遺伝子産物APCと結合することや細胞周期のG1期からS期への移行を阻害することが報告されている。実際にTaxとhDLGの結合は、in vitroでも細胞内でも検出された。さらにペプチドによる競合実験により、TaxがAPCとhDLGの複合体形成を阻害することを示唆する結果が得られた。現在、hDLGの細胞周期進行を阻害する活性にTaxがどういう効果をもたらすか解析している。またこの他に、Taxと相互作用する因子の候補としてDNA topoisomerase IのcDNAも単離されており、Taxとの結合とその生理的意義について検討している。