ABSTRACT 878(P2-5)
ヴェトナムにおけるHTLV-II感染の特性と分子生物学的解析:福島誉子1、小室勝利 2(1国立感染研・細菌・血液製剤部、2 国立感染研・安全性研究部)
Identification and Molecular Characterization of Human T Lymphotropic Virus Type II Infections in Vietnam : Yoshiko FUKUSHIMA1, Katsutoshi KOMURO2 (1Dept. Bact. and Blood Prod., NIID, 2Dept. of Safety Res. on Biologics, NIID)
HTLV-II およびHTLV-I 感染は、HIV-1感染の増悪因子との関連や日和見感染の一つとしても注目されている。我々はヴェトナムにおけるレトロウイルス感染の現状を解析し、旧南ヴェトナムの経静脈麻薬濫用者(IVDAs)から血清学的に高率(60%)にHTLV-II感染者を検出した。今回、末梢血リンパ球由来DNAを用いて、RFLP解析とLTR領域のシークエンス解析にてウイルスの特性を検討した。RFLP解析の結果から、すべての検体はHTLV-IIbサブタイプに属し、HTLV-IIaサブタイプの感染は検出されなかった。またシークエンスの系統樹解析からニューヨークのIVDAsから得られたシークエンスと非常に近縁の結果を得た。以上の結果からヴェトナムにおけるHTLV-II 感染は、ヴェトナム戦争によってアメリカ人兵士から持ち込まれた可能性が強く示唆された。今回の検体分与にあたりヴェトナムのAn Giang Province Medicine Preventive Center、Dr. Hoang Thuy Long、Dr. Nguyen Tran Hien 、国立感染研、武部豊、本多三男両博士に深く感謝する。