ABSTRACT 879(P2-5)
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Cell freeヒトT細胞白血病ウイルス1型(HTLV-1)のマウスへの感染:吉田敏則1,3, 阿部英明1,2, 嵐紀子1,2, 方建華1,2, 田中正和1,2, 馮仁青1,2, 内田和彦1,2, 原田孝則3, 星野洪郎4, 三輪正直1,21筑波大・基礎, 2TARAセンター, 3残農研, 4群馬大・医)

Infection of mouse by cell free HTLV-1: Toshinori YOSHIDA1,3, Hideaki ABE1,2, Noriko ARASHI1,2, Jianhua FANG1,2, Masakazu TANAKA1,2, Renqing FENG1,2, Kazuhiko UCHIDA1,2, Takanori HARADA3, Hiroo HOSHINO4 and Masanao MIWA1,2 (1Inst. Basic Med. Sci. and 2Center for TARA, Univ. Tsukuba, 3Inst. Environ. Toxicol., 4Gunma Univ. Sch. Med.)

〔目的〕HTLV-1は成人T細胞白血病(ATL)およびHTLV-1関連疾患の原因ウイルスとして知られているが、どのような機構で発病に至るかは未だ不明である。これらの発症メカニズムを調べる上で、適当な動物モデルを確立することが重要である。我々は、マウスにHTLV-1産生細胞株MT-2を投与することで感染が成立することを示してきたが、今回はcell freeのHTLV-1によるマウスへの感染の有無について調べた。
〔方法〕Cell freeのHTLV-1を産生するネコ腎細胞由来の8C細胞を培養し、3日後の培養上清(a)、あるいは2日後に一度上清を交換した後更に1日培養したその培養上清(b)から遠心操作によりウイルス濃縮液を得た。濃縮液のウイルス抗原(p19)をELISAで定量した。生後1日および7日目にウイルス濃縮液をマウス(C3H/HeJ)に投与(i.p.)し、その4週間後に脾臓DNAにおけるHTLV-1プロウイルスのpX配列の有無をPCR/サザン法で検索した。
〔結果〕ウイルス濃縮液の濃度は280(a)および160(b)ng/mlであった。脾臓DNA中のpX配列の検出は、5匹中2匹(a)および7匹中0匹(b)であった。
〔考察〕従来、HTLV-1のin vivoにおける感染様式はcell to cellによるものが主であると考えられてきたが、今回の実験によりcell freeのHTLV-1によってもマウスへの感染が成立することが強く示唆された。