ABSTRACT 881(P2-5)
HTLV-I感染細胞株およびATL患者白血病細胞におけるiNOS発現:森直樹1,山田恭暉2,池田柊一3,朝長万左男4,山本直樹1(1長崎大・熱帯医研・エイズ感染防御,2長崎大・医・臨検医,3佐世保市立総合病・内,4長崎大・医・原研内)
Constitutive expression of human inducible nitric oxide synthase gene in T-cell lines infected with human T-cell leukemia virus type I and primary adult T-cell leukemia cells:Naoki MORI1,Yasuaki YAMADA2,Shuichi IKEDA3,Masao TOMONAGA4,Naoki YAMAMOTO1 (1Dept. of Prev. Med. & AIDS Res., Inst. of Trop. Med., Nagasaki Univ., 2Dept. of Lab. Med., Nagasaki Univ. Sch. of Med., 3Dept. of Int. Med., City of Sasebo General Hosp., 4Atomic Bomb Dis. Inst., Nagasaki Univ. Sch. of Med.)
iNOSは広範な組織で発現誘導されるが、T細胞における発現制御機構は明らかでなく、またマウスiNOS遺伝子発現調節領域の機能解析結果より、NF-κB配列が重要なことが知られているが、ヒトiNOS遺伝子発現制御領域の解析は十分でない。HTLV-I感染T細胞におけるヒトiNOS遺伝子発現制御機構を解析した。
T細胞株でのiNOS mRNAはHTLV-I感染細胞株において強く発現しており、Tax発現と相関していた。ATL患者白血病細胞でも全例iNOS mRNAの発現を認めた。ヒトiNOS遺伝子5'領域3.2kbを含むLUC発現プラスミドをTax発現プラスミドと共にJurkat細胞に遺伝子導入し、LUC活性の誘導を指標として、転写に重要なプロモーター領域を検討した。その結果、転写開始点より0.4kb上流まで欠失させてもTaxに応答した。この領域にはNF-κB配列が認められるが、この配列に変異を導入しても、さらにドミナントネガティブIκB発現プラスミドをTaxと同時に遺伝子導入してもTax応答性に変化はなかった。
HTLV-I感染T細胞株およびATL細胞にiNOS mRNA発現を認めた。TaxはT細胞にiNOS発現を誘導し、その発現制御領域は転写開始点より0.4kb上流域にあったが、NF-κBはTax応答配列ではなかった。本研究はサントリー生物医研、布川陽一博士との共同研究である。