ABSTRACT 883(P2-6)
 ポスターセッション一覧 トップ 


Non.B & non.C肝癌における新型肝炎DNAウイルスTTVの染色体DNA組込みの有無
山本敏樹1,2, 梶野一徳1, 荒川泰行2, 樋野興夫11癌研・実験病理,  2日大・医・3内)

Analysis of TT virus integration in HBsAg (-) and HCVAb (-) hepatocellular carcinomas.: Toshiki YAMAMOTO1,2, Kazunori KAJINO1, Yasuyuki ARAKAWA2 and Okio HINO1 (1Dept. Experimental. Pathology, Cancer Institute, Tokyo, 2Third Dept. Int. Med. Nihon Univ. Sch. Med.)

本邦の肝細胞癌 (HCC)は近年増加傾向にあり約3万人と推定されている。これらの1割弱の症例については HBV陰性かつHCV陰性の非B非C型である。今回我々は非B非C型HCC症例について、真弓らにより新規に報告されたウイルス‘TTV’ゲノムの存在様式を調べ肝発癌への影響について検討した。
症例は非B非C型HCC8例(PCR法で肝組織中のHBV DNA陰性、血清HCV抗体陰性)で血清及び癌部、非癌部肝組織から抽出したDNAで、Southern blotting法、semi-nested PCR法を行った。さらに検出されたバンドについてはその塩基配列を決定した。
Southern blotting法では全例において、宿主DNAへのTTVのintegrationを示すバンドおよび遊離型の TTVゲノムは検出されなかった。semi-nested PCR法では3例(37.5%) の肝組織で目的のバンドが検出された。これらウイルス間の塩基配列のホモロジ−は約70−90%であった。
新規肝炎ウイルスとして注目されている‘TTV’は非B非C型HCC症例の癌部、非癌部肝組織からも検出されるが、HBV DNAで観察されるような宿主DNAへの挿入は認められなかった。今後‘TTV’の存在と、肝発癌への影響を含めた病的意義についての検討は、さらに症例数を増やす必要がある。