ABSTRACT 893(P3-1)
ラット十二指腸液胃内逆流による胃発癌に対するFOY-305の影響:菅谷純一,小坂健夫,高島茂樹(金沢医大・一般消外)
Effect of FOY-305 on gastric carcinogenesis by duodenogastric reflux in rats: Junichi SUGAYA, Takeo KOSAKA, Shigeki TAKASHIMA (Dept. of Surg. II, Kanazawa Medical University)
[目的]ラット十二指腸液胃内逆流モデル(DGR)では発癌剤なしで胃癌が発生することが示されている。本モデルにおける胃癌の発生増殖には、胆汁と膵十二指腸液の関与が示唆されるものの、その機序は未だ明らかでない。今回膵酵素阻害薬FOY-305が本モデルにおける胃発癌に如何なる影響を及ぼすかについて検討した。[材料と方法]動物はウィスター系雄性ラットをもちい、実験群には飼料にFOY-305を1000ppm混餌した。DGRモデルの作成は、Treitz靱帯より4cmの部位で空腸を結紮切離し、肛門側断端を腺胃胃底腺領域大弯に端側吻合した。50週後に屠殺し、幽門前庭部を中心に組織学的に検討し、癌、adenomatous hyperplasia (AH)、adenocystic proliferation (ACP)の発生率を検討した。[結果]癌発生率は対照群の19%(3/16)に対して実験群では5%(1/20)と抑制される傾向がみられた。AH発生率は対照群69%(11/16)に対して実験群20%(4/20)また、ACP発生率は対照群81%(13/16)に対して実験群45%(9/20)と抑制された。[結論]ラットDGRモデルにおける胃癌の発生・増殖に対し、FOY-305は抑制的に働く可能性が示唆された。