ABSTRACT 975(P4-1)
多発性内分泌腺腫症1型(multiple endocrine neoplasia type 1 : MEN1)におけるMEN1遺伝子の解析 : 白浜 秀也1、櫻井 晃洋2、橋爪 潔志2、渡辺 幸夫3、引地 一昌1、小林 信や4、天野 純4、藤森 実4(1(株)エスアールエル、2信州大・医・老年、4二外、3国立相模原病院)
Germline mutations of the MEN1 gene in Japanese multiple endocrine neoplasia type 1 ( MEN1 ) patients : Syuya SHIRAHAMA1, Akihiro SAKURAI2, Kiyoshi HASHIZUME2, Hiroyuki Yukio WATANABE3, Kazumasa HIKIJI1, Shinya KOBAYASHI4, Jun AMANO4 and Minoru FUJIMORI4 (1SRL Inc., 2Dept. of Geriatrics, 42nd Dept. of Surg., Shinsyu Univ. Sch. of Med., 3Sagamihara H. Hosp.)
多発性内分泌腺腫症1型(MEN1)は、主として下垂体、副甲状腺、膵内分泌細胞に腫瘍性病変(過形成、腺腫、癌) が認められる常染色体優性遺伝型式の遺伝性腫瘍疾患である。その原因遺伝子は、第11番染色体長腕11q13に存在するMEN1遺伝子であることが明らかにされた。われわれは日本人のMEN1におけるMEN1遺伝子の変異について解析を行ったので報告する。MEN1 13家系と家族性副甲状腺機能亢進症(familial hyperparathyroidism : FHPT) 1家系の患者の末梢血液よりDNAを抽出し、ダイレクトシークエンスにてMEN1遺伝子の変異を検索した。その結果、MEN1 10症例(77%)とFHPT 1症例において変異を検出した。MEN1の変異は、 9症例において欠失や挿入による蛋白を途中で中断させる変異、1症例において1つのアミノ酸が欠失する変異であった。FHPTにおける変異は、エクソン3コドン184におけるGTA(Val)からGAA(Glu)への変異であった。以上よりMEN1遺伝子の解析はMEN1の保因者および発症前診断に有用であることが示唆された。また、少なくとも一部のFHPTにおいては、その原因遺伝子がMEN1遺伝子であることが判明した。