ABSTRACT 978(P4-1)
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家族性集積性胃癌の臨床病理学的・分子生物学的検討 : 垣内英樹,草野真暢,三原真美,伊東文生,足立靖,遠藤高夫,日野田裕治,今井浩三(札幌医科大学医学部第一内科)

Clinicopathological and molecular biological analysis in familial gastric cancers : Hideki KAKIUCHI, Masanobu KUSANO, Mami MIHARA, Fumio ITOH, Yasushi ADACHI, Takao ENDOH, Yuji HINODA, Kohzoh IMAI(1st Dep. Int. Med, Sapporo Medical Univ., School of Med.)

第一度近親者に3人以上の胃癌発生をみた家系を、家族集積例とした。これを満たす独立した 15家系 15 例の胃癌症例の臨床病理学的特徴を解析した。これらの胃癌で占拠部位が噴門側に認められたものが 15 例中 6 例 (40%) 認められ、一般胃癌の 15% (胃癌研究会報告) に比べ統計学的に有意に高かった。また腹膜播種が 14 例中 5 例 (36%)、 肝転移が 14 例中 3 例 (21%)に認められ、一般胃癌に比べ有意に高かった。組織型は分化型 5 例、 未分化型 10 例で、有意ではないが一般胃癌より未分化型が多い傾向がみられた。さらに分子生物学的解析を7例の家族集積性胃癌の患者 DNA を用いて行った。まず microsatellite instability (MI) および TGFβ-RII の10-(A) 繰り返し配列の異常をPCR 法にて検討した。さらに APC 遺伝子、p53 遺伝子の胚細胞における異常の有無を PCR-SSCP 法にて検討した。いずれの家系においても MI および TGFβ-RII の異常は認められず、また APC 遺伝子、p53 遺伝子の胚細胞における異常も検出されなかった。すなわち家族集積性胃癌は、従来知られている遺伝性腫瘍である遺伝性非ポリープ大腸癌、家族性大腸ポリポーシス、Li-Fraumeni 症候群とは異なる疾患群であることが示唆された。さらに E-cadherin の胚細胞の異常について現在検討中である。