ABSTRACT 979(P4-1)
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家族性腫瘍スクリーニングにおける遺伝子検査の臨床応用:野水 整1、土屋敦雄2、渡辺文明1、石岡千加史3、武田弘明4、阿部力哉2、宇都宮譲二5、(1星総合病院外科、2福島医大2外、3加齢研癌化療、4山形大2内、5兵庫医大2外)

Clinical application of genetic testing in the screening of familial cancer: Tadashi NOMIZU1)Atsuo TSUCHIYA2)Fumiaki WATANABE1)
Chikasi Ishioka3)Hiroaki TAKEDA4)Rikiya ABE2)Joji UTSUNOMIYA5)
(1Dept.Surg.Hoshi General Hosp.,2Dept.SurgII,Fukushima Med.College,
3Dept.Clin.Oncol.,Inst.Development,Asing, Cancer,Tohoku Univ.,4Dept.Int.
MedII,Yamagata Univ.,5Dept.SurgII,Hyogo Med.College)

われわれはこれまで、家族性大腸腺腫症(FAP)、遺伝性非ポリポーシス大腸癌(HNPCC)、家族性乳癌などの家族性・遺伝性腫瘍における遺伝子診断の研究に携わってきた。これらの遺伝子診断は検査法の確実さ、陽性と陰性の意味、浸透率など研究段階としての意義、臨床応用の意義はそれぞれである。しかも、FAPにおけるAPC遺伝子検査はASCOで分類されるように臨床応用が極めて有用であるにもかかわらず、分子生物学的研究の終了とともに日本では臨床応用の道さえ閉ざされようとしている。また一方、倫理的・法的・社会的諸問題が討議されるようになり、遺伝子検査においては被検者の人権が最優先されるべきことが示され、基礎であれ臨床であれその研究は大きく制約を受けるようになった。そこで、われわれは東北家族性腫瘍研究会を設立し、FAPにおけるAPC遺伝子検査と家族性甲状腺髄様癌・MEN II型におけるRET遺伝子検査を臨床応用できるようなサービスを開始するとともに、他の家族性腫瘍においても基礎と臨床の共同研究を促進している。遺伝子検査の際には被検者に、疾患について、遺伝子検査の有用性と不利益性、遺伝子検査の結果の持つ意味などをきちんと理解していただいたうえで、同意書を文書で作成した、遺伝子検査を実施している。また、結果についてはカウンセリングを付記して主治医に伝えている。これらのシステムを紹介するとともに、これまで我々が行ったFAPにおけるAPC遺伝子検査、HNPCCにおけるMMR遺伝子検査、家族性乳癌におけるBRCA遺伝子検査の成績と実際を報告する。