ABSTRACT 984(P4-1)
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Rec Qファミリーヘリカーゼタンパクの正常及び 癌細胞での発現:抗ペプチドモノクローナル抗体による解析:鈴木裕史, 吉村明, 関政幸,  益子高, 榎本武美(東北大・薬・遺伝子薬学)

Expression of Rec Q helicase family proteins in normal and cancer cells: Analysis with anti -peptide monoclonal antibodies: Hirobumi SUZUKI, Akari YOSHIMURA, Masayuki SEKI, Takashi MASUKO, Takemi ENOMOTO (Dept. Mol. Cell Biol. Fac. Pharm. Sci., Tohoku Univ.)
 
【目的】ヒト細胞中には大腸菌の RecQタンパク質 と構造類似性の高いヘリカーゼが少なくとも3つ存在する。それらはBloom症候群 及びWerner 症候群の原因遺伝子産物( Blm , Wrn )、及び当教室で遺伝子クローニングしたヒトヘリカーゼ Q1である。今回、これらのRecQファミリーヘリカーゼを特異的に認識するモノクローナル抗体を作製し、各 RecQ ファミリーヘリカーゼの正常及び癌細胞での発現を解析した。
【方法】 Q1、Blm、Wrn の部分ペプチドをキャリヤータンパクに結合、Balb/cマウスに免疫し、脾細胞とNS-1ミエローマを融合することによりhybridomaを樹立、各々のぺプチドと特異的に反応するモノクローナル抗体を得た。細胞、組織の染色は蛍光抗体法とABC酵素抗体法によった。
【結果・考察】HeLa細胞を用いたWestern blot 解析で抗 Q1 で 70kDa、抗 Blm及び抗Wrnで 160kDaのタンパクが検出され、抗体認識タンパクと塩基配列より予想される各ヘリカーゼ分子量はよく一致した。いずれのヘリカーゼも線維芽細胞に比べHeLa細胞での発現が高く、染色部位は主に細胞核であったが、その染色パターンは各ヘリカーゼで異なっていた。組織染色の結果、胃癌および大腸癌の核でヘリカーゼの強い発現が認められた他、正常胃及び大腸粘膜での染色も確認された。以上よりRecQ ヘリカーゼが 癌細胞のような増殖の盛んな細胞では発現量が高く、それぞれが核内で役割分担している可能性が示唆された。