ABSTRACT 986(P4-1)
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O-メチルグアニン-DNAメチルトランスフェラーゼ多型と脳腫瘍との関連性について:井上亮1、安部眞佐子2、阿部竜也1、森照明1、堀重昭1、鈴木友和21大分医大・脳外,2生医研・臨床遺伝)

Polymorphisms of O6-methylguanine-DNA methyltransferase in brain tumor patients: Ryo INOE1, Masako ABE2, Tatsuya ABE1, Teruaki MORI1, Shigeaki HORI1, Tomokazu SUZUKI2 (1Dept.of Neurol.surg., Oita Med.Univ., 1Dept. of clinical genetics, Inst. of Bioregulation, Kyushu Univ.)

目的:O6-メチルグアニン-DNAメチルトランスフェラーゼ(MGMT)はDNA修復酵素であり、アルキル化剤に対する薬剤耐性、あるいは発癌に関与しているとされ、我々は以下のような非同義的置換変異対立遺伝子を見い出した。V1:エキソン3の171番目、262番目にC→T変異を有しLeu84Pheが推定されたもの、V2:エキソン3の207番目にG→C変異があり、Trp65Cysが推定されたもの。今回生態遺伝学的観点からMGMT多型が脳腫瘍の発症に関与しているか否かを検討した。対象、方法:原発性脳腫瘍患者58例、健常者225名の末梢血、腫瘍組織のgenomic DNAを用い、PCR-SSCP法にて解析した。結果:全原発性脳腫瘍患者のMGMT遺伝子型頻度は、W/Wが41例、V1/Wが16例、V2/Wが1例であり、健常者はそれぞれ160例、55例、1例であった(有意差なし)。しかしながら、glioblastoma(GBM)群のみは、W/W8例、V1/W 10例で健常者に比しV1/Wの頻度が有意に高かった(P<0.05、odds ratio 3.64)。さらにGBMと他のglioma(LGA and AA群)との間の比較でも、V1/Wが有意にGBM患者に見られた(P<0.05, odds ratio 16.25)。また、mer-HeLa 細胞にV1とW MGMTを共発現させたところ、高濃度アルキル化剤に対する感受性が、V1およびW MGMT単独発現の場合に比し亢進していた。結論:MGMT多型がGBMの発症に関与している可能性が示唆され,さらにMGMT酵素活性、化学療法に対する感受性にも影響しうると思われる。