ABSTRACT 987(P4-1)
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酸化的塩基損傷5-ホルミルウラシルの修復機構:寺東宏明,井出博(広島大・理・遺伝子科学)

Repair mechanisms of 5-formyluracil,an oxidative base damage:Hiroaki TERATO,Hiroshi IDE(Dept. of Gene Science,Fac. of Science,Hiroshima Univ.)

[目的]5-ホルミルウラシル(fU)は、チミンの酸化損傷の一つである。このfUは突然変異性を示すことから生物にはDNAからfUを除去する修復酵素が存在すると予想される。そこでfUを認識する酵素の探索を目的とし研究を行った。 [方法]これまでAlkA(大腸菌3-methyladenine DNA glycosylase II)にfU除去活性があること、また哺乳類細胞の粗抽出液にfU修復活性があることが報告されている。そこでfUを部位特異的に導入したオリゴヌクレオチド基質を作製し、AlkAのfUに対する酵素パラメータを求めるとともに、既知の哺乳類の塩基除去修復酵素の活性を検討し、前述したfU修復活性がこれらによるものかどうかを確認した。 [結果]AlkAのfUに対するKmは本来の基質である7-methylguanine(7mG)と同程度であり、Vmaxは7mGの1/2であった。一方、哺乳類細胞のAlkA機能ホモログMPGおよび酸化ピリミジン修復酵素Nth1はいずれもfUに対する活性を示さなかった。以上の結果から、AlkAのfU修復への関与と、哺乳類細胞で報告されたfU修復活性が新規修復酵素に由来する可能性が示唆された。