ABSTRACT 992(P4-1)
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蛍光プライマーとオートシーケンサーを用いた新しい解析法による食道癌のマイクロサテライト不安定性: 荒木貢士、江頭明典、川口英俊、佐伯浩司、大賀丈史、北村薫、大野真司、桑野博行、前原喜彦、杉町圭蔵 (九大・医・2外)

Precise assessment of microsatellite instability of esophageal cancer using high resolution fluorescent microsatellite analysis.: Koshi ARAKI, Akinori EGASHIRA, Hidetoshi KAWAGUCHI, Hiroshi SAEKI, Takefumi OHGA, Kaoru KITAMURA, Shinji OHNO, Hiroyuki KUWANO, Yoshihiko MAEHARA, Keizo SUGIMACHI (2nd Dept. of Surg, Univ. of Kyusyu, Fac. of Med.)

【目的】近年、一部の発癌の原因がミスマッチ修復系の異常であることが明らかにされてきた。我々は従来より、蛍光プライマーとオートシーケンサーを用いた新しい解析法によりマイクロサテライト不安定性(MSI)の解析を各臓器で行ってきたが、今回、食道癌のMSIをこの方法を用いて評価し食道の発癌におけるミスマッチ修復異常の関与について検討した。【対象と方法】食道癌組織46例からDNAを抽出し、5つの独立したマイクロサテライトDNA領域を蛍光プライマーを用いてPCRで増幅し、ABI社製Model373A蛍光自動シーケンサーで泳動した。解析には同社の解析プログラムGeneScanを使用し、陽性判定には独自の基準を用いた。また、MSIとp53との相関を検討するため、同一症例において免疫染色にてp53変異を確認した。【結果】検索したマーカーのうち、一つにでもMSI陽性が認められる症例は6例(13%)、2つのマーカー以上で陽性が認められたのは1例(2%)のみであった。陽性群、陰性群で各臨床病理学的因子には相関を認めなかった。また、p53変異との間に相関あるいは逆相関は認めなかった。【結語】食道癌では他臓器との症例とも比較し、複数のマーカーで陽性となる症例は明らかに少なく、また陽性のバンドパターンもその特徴を異にするものであった。以上より、食道の発癌におけるミスマッチ修復異常の関与の可能性は低いと考えられた。