ABSTRACT 994(P4-1)
ヒト胃癌におけるchromosomal instability よりみたintratumoral regional DNA ploidy heterogeneity: 佐々木功典1 、小賀厚徳1 、内山哲史2 、村上卓夫2 ( 1山口大学医学部第二病理、2岩国医療センター外科 )
Intratumoral regional DNA ploidy heterogeneity viewed from chromosomal instability in human gastric cancers: Kohsuke SASAKI1, Atsunori OGA1, Tetsuji UCHIYAMA2, Takuo MURAKAMI2 (1Dept. of Pathol., Yamaguchi Univ. Sch. of Med., 2Surg. Div., Iwakuni Med. Ctr.)
悪性腫瘍には、genetic instability に起因すると考えられるtumor heterogeneity が指摘されている。最近になって、このgenetic instability はmicrosatellite instabilityとchromosomal instability とに大別されることが報告され、後者とDNA aneuploidyとの密接な関連性が注目されている。ここでは、サイトメトリーによるDNA ploidyとFISHによる染色体数の測定とを用いて、外科的に切除された胃癌組織におけるchromosomal instability とintratumoral heterogeneityとの関係を検討した。
材料と方法: 手術により摘出された胃腺癌組織14例を対象として、各症例より、場所を変えて4−6 個所より癌組織を採取した。DNA ploidyはレーザー走査サイトメトリーにより、染色体7 、11、17、18の各染色体数はFISHにより決定した。結果: intratumoral regional DNA ploidy heterogeneityは13/14 に認められた。染色体検索からは、全例にheterogeneity が存在すと考えられた。diploid (near diploid)例では、いずれの染色体もdisomyを呈しおり、染色体数にもバラツキはなかった。一方、染色体数にバラツキがある症例は全て、DNA aneuploidyを示していた。しかしながら、一部では、DNA aneuploidyを呈しておりながら、染色体数にバラツキのない標本も存在していた。