ABSTRACT 996(P4-1)
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胃がんにおけるDNAのマイクロサテライト不安定性及びBAX, TGF beta-RII遺伝子のframe shift変異:松隈章一1, 吉原光代1, 吉川貴己2, 西連寺意勲2 ( 1神奈川がんセ・研,2神奈川がんセ・病外)

Microsatellite instability of DNA in gastric cancer and mutation of BAX and TGF beta-RII genes: Shoichi MATSUKUMA1, Mituyo YOSHIHARA1, Takaki, YOSHIKAWA2, Motonori SAIRENJI 2 (1Res. Inst, 2Hosp. Sur.Div. 3, Kanagawa Cancer Center)

[目的]当施設での胃がん例についてDNA検体を癌部及び非癌部組織より抽出し、染色体位置マーカーであるマイクロサテライトについて、ヒトがんDNAに発生するマイクロサテライト不安定変動の解析を実施した。また、Bax、TGF beta-RII型遺伝子のreplication errorを受けやすい単純配列領域での遺伝子異常とマイクロサテライト異常変動との関連を解析した。
[結果]胃がん(進行癌70例)の手術材料のうち、上皮組織を十分量含む40例について、胃がん由来DNAと正常細胞由来DNAの比較を行い胃がんでのマイクロサテライト不安定性を示すものを検索し11/40=27%の胃がんで異常を検出した。BAX遺伝子はアポトーシスを誘導しその異常による癌化が示唆される遺伝子で(G)8の単純配列が異常を起こす可能性が高い。また増殖抑制に関与するTGF beta-RIIは(A)10の単純配列があり同様の可能性を有する。これらの遺伝子について変異を検索した結果、frame shift突然変異を起こした異常がBAXとTGF beta-RIIについてそれぞれ3例の胃がんで検出された。このうち1例は両遺伝子に変異が生じていた。マイクロサテライト不安定性を示す胃癌細胞が高頻度(45%)で遺伝子変異を誘発したことを示唆する。12番染色体のマイクロサテライト・マーカーD12S84ではLOH異常を検出した。