ABSTRACT 997(P4-1)
 ポスターセッション一覧 トップ 


ヒト大腸がん及び胃がんにおけるミニサテライト変異の解析:稲森英明、落合雅子、杉村隆、長尾美奈子、中釜斉(国立がんセ・研・生化)

Minisatellite mutations in human colorectal and gastric cancers: Hideaki INAMORI, Masako OCHIAI, Takashi SUGIMURA, Minako NAGAO, Hitoshi NAKAGAMA (Biochemistry Div., Natl. Cancer Ctr. Res. Inst.)

 ミニサテライトDNA (MN) は5-100 bpの反復配列で構成され、広くヒトゲノム中に存在する。種々のヒト腫瘍でのMN変異(MNM)が報告されているが、MNMの腫瘍発生過程における役割については十分に解明されていない。今回我々は、ヒト大腸がん及び胃がん におけるMNMについて検討した。大腸がん34例、胃がん24例計58例の手術サンプルから得られた癌部及び非癌部DNAを用いてSouthern blot 法によるDNA fingerprint 解析を行った。プローブとしては Pc-1, 33.6, 33.15の3種類のMN配列を用いた。ヒト大腸がんの19例 (56%)及び、胃がんの6例 (25%)においてMNMが認められ、大腸がんにおいて有意に高頻度であった。また複数個のMNMを有する症例が大腸がんでは11例 (32%)存在したが、胃がんでは2例 (8%)のみであった。以上よりヒト大腸がんにおいてはMNMを高頻度に生じさせる分子機構が働いていることが推察される。MNMとマイクロサテライト不安定性との関連については現在検討中である。