ABSTRACT 1000(P4-1)
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多発胃癌と大腸癌重複胃癌におけるhMSH2蛋白発現の検討:小野田尚佳1,2、大谷博、八代正和、前田清、澤田鉄二、仲田文造、平川弘聖2、加藤保之1,2、曽和融生3 (1大阪市大・医・老年研腫瘍分野、2大阪市大・医・1外、3大阪市総合医療セ)

hMSH2 expression in gastric cancer with multiple lesions in the stomach or colon: Naoyoshi ONODA1,2, Hiroshi OTANI, Masakazu YASHIRO, Kiyoshi MAEDA, Tetsuji SAWADA, Kosei HIRAKAWA-Y.S. Chung2, Yasuyuki KATO1,2, Michio SOWA3 (1Dept.of Oncol., Osaka City Univ.Med.Scl., 21st Dept.of Surg., Osaka City Univ.Med.Scl., 3 Osaka City General Hosp.)

[目的] HNPCCを中心とする一部の消化器癌の発癌にDNAミスマッチ修復(DMR)の異常が関与することが知られ、消化器多発癌でもDMRの異常の関与が示唆されている。今回われわれは、DMRを担う蛋白の1つであるhMSH2の発現を多発・重複病巣を有する胃癌症例で検討し、胃発癌におけるDMR異常の関与を考察した。
[対象と方法] 教室で切除された多発胃癌11例22病巣、大腸癌を合併した胃癌20例20病巣(HNPCC症例は含まれていない。)を対象とし、抗hMSH2抗体を用いた免疫組織染色により組織発現を検討した。染色陰性症例ではmicrosatellite instability (MI)も併せて検討した。
[結果] 多発胃癌病巣ではすべての病巣でhMSH2蛋白の組織発現が認められた。一方、大腸癌を合併した胃癌20病巣中5例(25%)では、hMSH2の組織発現がきわめて減弱(癌細胞の10%以下)ないし消失していた。これら5例中3例では胃・大腸両方の癌組織でMSIが認められ、他の2例では胃癌ではみられなかったものの、大腸癌においてMSIが認められた。
[結語] 大腸癌を重複する胃癌症例のうちには、DMRの異常が関与し、HNPCC同様の発癌過程を経た例の存在が示唆された。一方、多発胃癌においてはDMRの異常の関与は少なく、異なった発癌過程が関与しているものと考えられた。