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大腸癌におけるDNA複製エラーの解析とその臨床的意義―近畿大腸癌化学療法研究会第３次研究―：冨田尚裕，今村正之，宇都宮譲二，大橋秀一，大歳雅洋，岡川和弘，岡島邦雄，吉川宣輝，坂本嗣郎，曽和融生，中野博重，日置紘士郎，門田守人，安富正幸，亀山雅男，岩永剛（近畿大腸癌化学療法研究会）

The analysis of DNA replication error in colorectal cancer and its clinical significance.: Naohiro TOMITA,Masayuki IMAMURA, Joji UTUNOMIYA, Shuichi OHHASHI, Masahiro OHTOSHI, Kazuhiro OKAGAWA, Kunio OKAJIMA, Nobuteru KIKKAWA, Tugurou SAKAMOTO, Michio SOWA, Hiroshige NAKANO, Koushirou HIOKI, Morito MONDEN, Masayuki YASUTOMI, Masao KAMEYAMA, Takeshi IWANAGA ( Kinki Surgical Oncology Study Group for Colorectal Cancer )

【目的】我々は大腸癌の術後補助化学療法とその感受性に関する因子について検討する目的で多施設共同研究を行っている。今回は大腸癌におけるDNA複製エラーの臨床的意義について検討した。
【対象と方法】治癒切除を行った大腸癌603例からDNAを抽出し，３つのlocus(D2S123, D3S1067, TP53) でのmicrosatellite instability (MSI)の有無を判定した。次いで術後の病理組織所見が得られた症例のうち多重癌およびRER解析不能例を除いた435例について，臨床病理学的因子との関連を検討した。
【結果】1 locusのみでMSI(＋)のものは44/561 (7.8%), 2 lociでは13/574 (2.2%), 3 lociでは29/603 (4.8%)であり，1 locus 以上(＋) のものをRER(＋)とすると86/603 (14.2%)であった。RER(＋)症例は有意に右側結腸に多く，組織型では低分化型や粘液癌の頻度が(−)症例に比し多かった。1 locus のみでMSI(＋)であった症例の多くは1 repeat のみの偏位であり，複数の偏位バンドからなるladder pattern を示すRERとは異なった機序によるものと考えられた。
【結論】多施設共同研究の大規模集団におけるRERの解析は有用であり，今後，予後との関連などにつき検討していく予定である。