ABSTRACT 1005(P4-1)
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子宮体部発癌過程における遺伝的不安定性とその標的遺伝子の検討:平井康夫、荷見勝彦、阪埜浩司、河口徳一、古田玲子、加藤洋、北川知行、白濱秀也、坂本優、野田哲生(癌研・1婦人科、2細胞生物、3病理、杏雲堂病院・婦人科、SRL染色体・遺伝子解析センター)

Study of microsatelite instability and the target genes in endometrial cancer: Yasuo HIRAI, Katsuhiko HASUMI, Kouji BANNO, Tokuichi KAWAGUCHI, Reiko FURUTA, You KATO, Tomoyuki KITAGAWA, Syuya SHIRAHAMA, Masaru SAKAMOTO, Tetsuo NODA(Dept. of 1Gynecol., Cell Biology, 3Pathology, Cancer Institute, 4Dept. of Gynecology, Kyoundou Hospital, 5SRL)

[目的] 子宮体癌においてmicrosatellite instabilityの有無により遺伝的不安定性を検出し、発癌に直接関与すると思われる標的遺伝子の変異とその意義を解析するとともに、CGH法により、全ゲノム上の遺伝子コピー数の増幅と欠失についても検討した。[方法]子宮体癌29例よりDNAを抽出し、任意に選択した5つのmicrosatellite markerのPCR産物の泳動パターンから遺伝的不安定性の有無を推定した。遺伝的不安定性の標的遺伝子の可能性のあるTGF-βタイプIIリセプター、Bax、PTEN遺伝子について、SSCPおよびシークエンスにより全症例で変異の有無を検討した。また、CGH法を実施し全ゲノムの遺伝子コピー数の増減を検討した。[成績]29例中9例(31%)に遺伝的不安定性をみとめた。 TGF-βタイプIIリセプター遺伝子エクソン3の変異を遺伝的不安定性をみとめた9例中2例にみとめた。同じく遺伝的不安定性をみとめた9例中、3例にBax遺伝子エクソン2の変異をみとめた。PTENのエクソン1,2のSSCPによる検討では、3例にBandのシフトがみられた。遺伝的不安定性をみとめた9例中5例(56%)に何らかの変異をみとめた。CGHでは、遺伝的不安定性のみとめられた症例では6q、13qにコピー数の減少が示唆された。一方遺伝的不安定性のみとめられない症例では7q、11pにコピー数の減少が示唆された。[結論]子宮体癌において、TGF-βタイプIIリセプター遺伝子およびBax遺伝子は、遺伝的不安定性に基づく発癌の標的遺伝子として特に重要であることが示唆された。CGH法によると、遺伝的不安定性のみとめられる症例とみとめられない症例で遺伝子コピー数の変化の量と部位が異なっている。