ABSTRACT 1008(P4-1)
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原爆被曝者にみられる肺癌の遺伝子不安定性:松浦将浩1,武島幸男1,馬淵清彦2,井内康輝11広島大・医・第二病理,2放射線影響研究所)

Genetic instability in lung cancers from atomic-bomb survivers : Masahiro MATSUURA1, Yukio TAKESHIMA1, Kiyohiko MABUCHI2, Kouki INAI1 (1Second Dept. of Pathol., Hiroshima Univ. Sch. Med., 2Radiation Effects Res. Foundation, Hirosima )

[目的]疫学的研究によって原爆被曝者における肺癌の相対危険度は2.4と一般に比べてその発生率は高い。被爆者における癌の好発については、放射線によって発癌に関与する遺伝子に直接突然変異が生じたものか、あるいは遺伝子不安定性の誘導による突然変異の率の上昇などが考えうるが、肺癌においてはそのいずれが主要であるのかは明らかでない。そこで今回、推定被曝量の明らかな肺癌例を用いて、遺伝子異常ことに遺伝子不安定性の有無に焦点をあてて検索を試みた。[対象と方法]対象はすべて手術例を用い、ホルマリン固定パラフィン包埋材料から型通りDNAの抽出を行い、microsatellite marker によるLOH及びRERの検索を行った。用いたmarkerはTP53(17p)、 IFNA(9p)、 D3S1234(3p)などである。[結果及び考察]現在までに得られた結果としては各markerによるLOHの頻度はTP53では22.9%、IFNAでは23.1%、D3S1234では18.4%で、推定被曝線量別にindexとして表すと、0-0.005Gy; 33%、0.005-0.49Gy; 14%、0.005-Gy; 13%である。これらに修復遺伝子の検索などを加えて報告する。