ABSTRACT 1009(P4-1)
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クロム肺癌におけるmicrosatellite instabilityについての検討:広瀬敏幸1、近藤和也1、三好孝典1、石倉久嗣1、木下英孝1、松森保道1、横瀬智之2、向井 清2、児玉哲郎3、橋本正人4、露口 勝5、門田康正11徳島大・第2外科、2国立がんセ・研・臨床腫瘍病理部、3国立がんセ・中央病・内、4岩見沢労災病・外、5徳島市民病・外)

Analysis of microsatellite instability in lung cancer from chromate-exposed workers : Toshiyuki HIROSE1, Kazuya KONDO1, Takanori MIYOSHI1, Hisashi ISHIKURA1, Hidetaka KINOSHITA1, Yasumichi MATSUMORI1, Tomoyuki YOKOSE2, Kiyoshi MUKAI2, Teturou KODAMA3, Masato HASHIMOTO4, Masaru TSUYUGUCHI5 , Yasumasa MONDEN1 ( 12nd Dept. of surg., Tokushima Univ., 2Pathol.Div.,Natl.Cancer Ctr.Res.Inst.East, 3Dept.ofInt.Med.,Natl.Cancer Ctr.Hosp., 4Dept. of surg. Iwamizawa Rousai Hosp., 5Dept. of surg. Tokushima Municipal Hosp.)

【目的】クロムは様々な遺伝子異常を引き起こすことが知られている。今回、我々はクロムに暴露したヒト肺癌の臨床材料を用いて、microsatellite instability(MSI)について検討を行った。【対象と方法】クロムに暴露した肺癌症例27例32個(扁平上皮癌30個、小細胞癌1個、腺癌 1個、男性27例、平均年齢57.7歳、B.I. 472)のパラフィン包埋切片より、microdissection法にて、腫瘍組織及び正常組織からDNAを抽出した。6つのmicrosatellite marker(3p,3個、5q,9p,17p,各1個)を用いて、MSIを調べた。コントロールとして、クロムに暴露していない肺癌症例14例(扁平上皮癌14例、男性14例、平均年齢60.5歳、B.I.643)を用いて同様に調べた。【結果】6つのmicrosatellite marker 中2つ以上のmicrosatellite領域にMSIを認めたものは、クロム肺癌では27例32個中28個(87.5%)と高頻度であった[ 6カ所中6カ所,1個(3%)、5カ所,2個(6%)、4カ所,6個(19%)、3カ所,10個(31%)、肺癌14例中、2カ所以上でMSIを認めたものは1例(7.1%)であった[ 6カ所中2カ所,1個(7%)、1カ所,4個(28%)]。【結語】クロム肺癌では高頻度にMSIを認めた。クロムがDNA修復を阻害するという報告があるので、今後、クロム肺癌のミスマッチ修復遺伝子の異常について調べる必要があると思われる。