ABSTRACT 1078(P4-4)
ヒト腎細胞癌におけるMN/CA9遺伝子変異についての検討:仲川嘉紀1,植村天受1,清水一宏1,2,平尾佳彦1,岡島英五郎1,佐賀信介2,吉川和宏2(1奈良医大・泌,2愛知医大・2病)
Evaluation of mutant MN/CA9 gene expression in human renal cell carcinoma:Yoshinori NAKAGAWA1, Hirotsugu UEMURA1, Kazuhiro SHIMIZU1, Yoshihiko HIRAO1, Eigoro OKAJIMA1, Shinsuke SAGA2, Kazuhiro YOSHIKAWA2(1Dept. Urol., Nara Med. Univ., 22nd Dept. Pathol., Aichi Med. Univ.)
【目的】MAbG250が認識する抗原は、Hela cell lineより同定されたMN/CA9と同一分子であり、腎細胞癌(RCC)症例の約90%に免疫組織学的に抗原を検出できる。この発現はRCCにおいてはGrade 1、2では92.2%と高率であるが、Grade 3では63.6%で、Gradeの悪性化と反比例する傾向が観察されている。今回MN/CA9抗原分子の発現と遺伝子レベルの発現を検討した結果、一部の症例において変異遺伝子を見い出した。【材料および方法】症例は奈良医大泌尿器科および関連病院において切除したRCCを対象とした。MN/CA9分子の発現は、MAbG250による免疫組織染色、また遺伝子レベルの発現はRT-PCR法により検討した。またRT-PCR法による検討では35S-dCTPを用いてPCRを行い、シークエンス用polyacrylamide gelによる電気泳動を行い、変異遺伝子の検出を試みた。さらに、得られたbandのPCR産物についてはTA cloning、塩基配列の決定を行った。【結果】免疫組織染色陽性症例は、RT-PCR法においても強い発現を認めたが、染色陰性症例では、RT-PCR法で弱発現ないしは非発現であり、35S-dCTPを用いてのRT-PCR検査を行ったところ、一部の症例では予想サイズより短いbandを認め、この産物の塩基配列を解析したところ、部分的遺伝子欠失が認められた。【結語】腎細胞癌における悪性化とMN/CA9遺伝子変異の相関が示唆された。