ABSTRACT 1082(P4-4)
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ヒト髄膜腫のDNA 異常と免疫組織化学的検索:乾 多久夫1, 小西 登1, 中村光利2, 趙 順規1, 内藤宏昌3, 山本漢九1, 都築俊英2, 日浅義雄11奈良医大2病理, 2脳外, 3耳鼻)

Correlation between genomic alterations and immunohistochemistrical feature of human meningiomas:Takuo INUI1, Noboru KONISHI1, Mitsutoshi NAKAMURA2, Masaki CHO1, Hiroaki NAITOU3, Toshihide TSUZUKI2, Yoshio HIASA1(1Second. Dept. Pathol. 2Dept. Neurosurg. 3Dept. Otolaryngol., Nara Med. Univ.)

[目的]昨年、我々は本学会においてヒト髄膜腫における腫瘍のゲノムDNA異常の相関をRLGS法(Restriction Landmark Genomic Scanning)を用いて解析し、組織特異的なDNA異常について報告した.今回更にatypical typeを加えてDNA異常を解析するとともに、既知の腫瘍関連遺伝子の遺伝子産物の発現を免疫組織化学的に検討した.[材料と方法]ヒト髄膜腫21例を用い、RLGS法にてDNA異常を検索.genomic mappingを用いて対応する染色体番号を推定、そこに座位する腫瘍関連遺伝子( NF1, NF2, E-cadherin, (α,β,γ)-catenin,p53, nm23 (H1 and H2))産物の発現を免疫組織化学的に検討した.[結果]得られた髄膜腫の6個のDNAスポットは半数以上の症例で共通して増強していた.また高頻度に濃度が減少ないし消失した21個のスポットを認め、そのうちatypical typeに特異的な2個の変異スポットを得た.この2個のスポットはmapから各々9-12,20番染色体上に座位していると推定され、髄膜腫の悪性転化にこれらの染色体の異常の関連が示唆された.また、meningothelial typeとatypical typeに共通して減弱する2個のスポットも認められ、多くのatypical typeがmeningothelial typeから悪性転化してくる可能性が示唆された.更に、免疫組織化学的にNF2 geneの発現と有意に相関するスポットを認めた.[結論]以上より、髄膜腫にはいくつかの腫瘍発生に関連するゲノム変化があり、このうちNF2 geneと関連するスポット変異を見出し、更に悪性転化には9-12,20番染色体上の異常が関与していると示唆された.