ABSTRACT 1085(P4-4)
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卵巣癌における6q27の共通欠失領域330kbから単離された新規癌抑制遺伝子候補の解析:水口剛雄1,2,松島美恵子,金森康展,斎藤督3,白浜秀也3,吉川裕之2,武谷雄二2,中村祐輔東大・医科研・ヒトゲノム,2 東大・産婦,3(株)エスアールエル)

Analysis of candidate tumor suppressor genes isolated from chromosome 6q27 region that is deleted frequently in ovarian cancer : Takeo MINAGUCHI1,2,Mieko MATSUSHIMA1,Yasunobu KANAMORI1,Susumu SAITO3,Syuya SHIRAHAMA3,Hiroyuki YOSHIKAWA2, Yuji TAKETANI2,Yusuke NAKAMURA1(1Human Genome Center,Inst. Med.Sci.,Univ.Tokyo,2Dept.Obstet.Gynecol.,Univ.Tokyo,Faculty of Med.,3SRL Inc.)

卵巣癌において高頻度にLOHを認めることから6q27には卵巣癌の発生・進展に関与する癌抑制遺伝子の存在が示唆されている。その共通欠失領域に白血病関連遺伝子AF-6を同定したが、卵巣癌においては全く構造異常を認めなかった。今回、われわれはこの共通欠失領域330kbの全塩基配列のゲノム情報に基づき、AF-6遺伝子以外に5つの候補遺伝子を単離した。そのうちの2候補について詳細に解析したので報告する。1つは1.4kbの転写産物をubiquitousに発現する遺伝子であり、データベースによるホモロジー検索では、アミノ酸レベルでマウスのc-abl遺伝子と30%、ヒトのthyroid transcription factor 1と27%の相同性を認めた。また、モチーフ検索では複数のphosphorylation siteを持つと予測された。もう1つは1.3kbの転写産物をubiquitousに発現する遺伝子であり、その予測アミノ酸配列にはセリン/トレオニン残基に富む反復配列が存在し、ヒトのDNA-directed RNA polymerase IIと31%の相同性を認めた。これら2つの遺伝子は細胞内シグナル伝達や転写調節に関与する可能性があり、機能の解析および卵巣癌における異常の有無の検索を現在すすめている。