ABSTRACT 1088(P4-4)
連鎖解析によるマウス2番、4番染色体上の放射線感受性遺伝子座および5番染色体上の放射線抵抗性遺伝子座の検索:斉藤有子、小出則彦、松本康男、小杉伸一、新保俊光、張大全、松木淳、木南凌(新潟大・医・1生化)
Susceptability to γ-ray induced mouse thymic lymphoma assigned to chromosomes 2,4 and 5:Yuko SAITO,Norihiko KOIDE,Yasuo MATSUMOTO,Shin-ichi KOSUGI,Tosimitsu SINBO,Daizen CHO,Atsushi MATSUKI,Ryo KOMINAMI (First Dept. of Biochemistry, Niigata Univ.)
マウスにγ線を照射するとリンパ腫が誘発されるが、その発癌感受性はマウスの系統により異なる。例えば、BALB/C系統は感受性を、MSM系統は抵抗性を示す。今回我々は、BALB/CとMSMのF1マウスにBALB/CおよびMSMを戻し交配してN2C,N2Mマウスを作成し、γ線照射を行った。このうちN2Mマウスでリンパ腫を発症した60例と、腫瘍を発症しなかった160例の正常組織を用い、58のマイクロサテライトマーカーで遺伝子型を比較して連鎖解析を行った。その結果、D2Mit15、D4Mit12付近ではヘテロ優位、D5Mit5付近ではホモ優位の連鎖非平衡をみとめた。カイ2乗値はそれぞれ8.538, 8.054, 6.982, p値は0.0035, 0.0045, 0.0082で、2番・4番染色体上には放射線感受性、5番には抵抗性遺伝子座の存在が示唆された。また相関を見ると、2・4番ともへテロの場合、カイ2乗値=15.407, p<0.001、2番がヘテロ・5番がホモの場合、カイ2乗値=16.800, p<0.0001、4番がヘテロ・5番がホモではカイ2乗値=13.232, p=0.0003となり、リンパ腫の発症を相乗的または相加的に促進すると考えられた。現在それぞれの遺伝子座についてコンジェニックマウスを作成し、放射線感受性/抵抗性遺伝子座の検索を進めている。