ABSTRACT 1090(P4-4)
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BACを用いた癌関連遺伝子解析の新技術:DH法とQ−Bee法
浅川修一、清水信義:(慶大・医・分子生物)

New methods for the genome analysis using BAC clones: DH method & Q-Bee method: Shuichi ASAKAWA, Nobuyoshi SHIMIZU (Dept. Mol. Biol., Keio Univ. Sch. Med.)

 我々は先に2セットのBACライブラリー(平均インサートサイズ110kb、10万クローンおよび平均インサートサイズ160kb、10万クローン:7.5ゲノム相当)を構築し、様々なゲノム解析、遺伝子解析に利用してきた。最近、これらのBACライブラリーを極めて効率的にスクリーニングするデジタルハイブリダイゼーション(Digital hybridization: DH)法、および極めて迅速にエキソン・イントロン構造を明らかにできるBACエキソンエクステンション(Quick BAC exon extension: Q-Bee)法を考案した。DH法は一度に数百種類のプローブによるスクリーニングを行うことのできる画期的な方法である。まず数百種類のプローブに2進法によるID番号を付与して作成されるマトリックスに従って数種類のプローブミックスを作成する。次にそれらのプローブミックスを用いてディファレンシャルハイブリダイゼーションを行う。個々のクローンについてそれぞれのプローブミックスに対するポジティブ−ネガティブのパターンを調べることによってそのクローンにハイブリダイズしたプローブが明らかにできる。我々は実際に126種類のSTSマーカーを用いてDH法を行った。また1000種類のプローブを用いてスクリーニングできることも示した(Genomics, in press)。またQ−Bee法ではcDNAシーケンスに基づき適当な間隔でプライマーを設計し、cDNAをブローブにして単離したBACをテンプレートに直接シーケンシングを行う。我々はBEE法を用いて1Mb程度のサイズをもつParkin遺伝子のエキソン・イントロン構造を極めて迅速に明らかにすることができた(Nature 392: 605-608, 1998)。本学会ではこれらの新しい方法を紹介し、癌関連遺伝子の同定、解析や癌の遺伝子診断の応用について論ずる。