ABSTRACT 1096(P4-4)
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組織構築混在型の腎細胞癌における染色体変化の解析:藤井敦子1,2, 吉田光明, 神山隆一, 影山幸雄, 藤井靖久, 大島博幸, 池内達郎東京医歯大・難治研・遺伝疾患,医・保健衛生,泌尿器)

Analyses of genetic changes in human renal cell carcinomas with mixed histopathological patterns : Atsuko FUJII1,2, Mitsuaki A. YOSHIDA1, Ryuichi KAMIYAMA2, Yukio KAGEYAMA3, Yasuhisa FUJII3, Hiroyuki OSHIMA 3 and Tatsuro IKEUCHI1 (1Dept. of Mol. Cytogenet., Med. Res. Inst., 2Sch. Allied Health Sci., 3 Dept. of Urol., Fac. of Med., Tokyo Med. and Dent. Univ.)

ヒト腎細胞癌 (RCC)は病理組織学的には乳頭型と非乳頭型の2種類に大別される。これまでの細胞遺伝学的ならびに分子遺伝学的解析から乳頭型及び非乳頭型のRCCではそれぞれに特徴的な染色体異常が認められてり,これらの構築型を示すRCCは異なった発生機構を持つもの考えられている。RCCの中には乳頭型と非乳頭型の双方の構築型が混在する症例があり,もし,上記の仮説が正しければこのような混在例ではそれぞれの構築型に特徴的な染色体異常を示す細胞クローンが独立して存在するはずである。今回,構築型混在例の11例を対象に染色体異常を解析したところ,予想に反して,それぞれの構築型に特徴的な染色体異常を持つ細胞が明らか別々の独立したクローンとしては認められず, 11例中3例では非乳頭型に特徴的な3p欠失と乳頭型に頻発する7-, 16-, 17-トリソミーとが同一の細胞内に共存するかたちで認められた。組織構築混在型RCCの発生機構について考察したい。